野菜メモ【ニンニク】編

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ニンニクの知識

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由来

ニンニクの原産地は中央アジア、特に現在のトルクメニスタン、ウズベキスタン周辺の地域とされています。日本で食べられるようになったのは奈良時代(710-794年)で、中国から伝わったそうです。このころは、蒜(ひる)とされていました。時間を経て、蒜の中に区別ができ、ニンニクは大蒜と呼ばれるようになりました。

室町時代のお寺では、大蒜(ニンニク)を”食べれば精力が出て、心が乱れるもの”という理由から不浄のものとし、お寺で食べることを禁じていました。それでも、食べれば精力が出る大蒜を食べたい気持ちから、仏教用語の「忍辱(にんにく)」という言葉を隠語として、こっそり食べていたそうです。 それが、現在のニンニクにつながったそうです(諸説あり)。

蒜:ニンニク、ネギ、野蒜などの古称
野蒜:小ねぎやニラに似ている野草
大蒜:ニンニクのこと

忍辱とは「耐え忍ぶこと、また侮辱や苦しみに耐え忍び心を動かさない修行法」という意味です。当時の僧侶も大蒜の精力アップといった魅力を知ってしまうと耐え忍ぶことはできず食べてしまったんですね。私もニンニクが大好きなので、ニンニクがない食事はつらそうですね~。

主な生産地

日本のニンニク生産の7割が青森県で栽培されています。”福地ホワイト”という品種が多く栽培されているそうです。福地ホワイトは1片が大きく、実が良く締まり、雪のように白いニンニクだそうです。

ニンニク雑学

  1. 古代の薬
    古代エジプトでは、ニンニクが薬として使われていました。特にピラミッドの建設に従事する労働者たちが、体力を保つためにニンニクを食べていたと言われています。
  2. 吸血鬼の退治
    ヨーロッパの伝承では、ニンニクは吸血鬼を退治する力があるとされ、家の周りに吊るして悪霊を追い払ったという話があります。
  3. 競技前の強化食
    古代オリンピックの選手たちは、競技の前にニンニクを食べることでスタミナをつけていたと伝えられています。
  4. 人の感覚
    ニンニクは料理から香るときには良い匂いなのですが、他人の口から臭うと悪臭とされてしまい、ニンニクを食べた後の現代人はブレスケアが必要。

ニンニクを食べる

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栄養素

ニンニクには次のような栄養素が含まれています。

〈ビタミンB1〉

”チアミン”とも呼ばれる水溶性のビタミン。糖質を燃やしてエネルギーに変える栄養素。疲労回復する効果が期待できる。

〈ビタミンB6〉

水溶性のビタミン。タンパク質の分解を助ける働きがある。免疫機能の維持や丈夫で健康な皮膚・爪などの生育につながる。

〈カリウム〉

ミネラルの一種。ナトリウムを排出する作用がある。塩分の取りすぎを調整するのに役立つ。

〈アリシン〉

独特の臭いの原因がアリシン。抗酸化作用で血液をサラサラに保つ効果が期待できる。

旬な時期

ニンニクの旬は5月~7月です。

目利き

おいしいニンニクには以下のような特徴があります。しっかり目利きして、いいニンニクをゲットだぜ!

  • 表面がに白い
    →黒くなっていたりすると傷んでいる
  • 皮と実の隙間が引っ付いている
    →収穫から時間がたっている
  • 芽が出ていない
    →芽が出ているものは収穫から時間がたっている

おいしい食べ方

ニンニクはいろいろな調理に利用ができます。
アヒージョにガーリックオイルやしょうゆ漬け。
その中で、実も食べれて、ニンニク醤油の調味料としても活躍するしょうゆ漬けの作り方を紹介します。

◎必要なもの

  • 保存容器
  • しょうゆ
  • ニンニク

◎基本的な作り方

  1. まず、ニンニクの皮を剥き、根本の部分を切る
  2. 保存容器に剥いたニンニクを入れる
  3. ニンニクがつかる程度のしょうゆを入れる
  4. 冷蔵庫で2日以上寝かせる

◎アレンジ

しょうゆに酒やみりんを加えて煮た調味液で作ることもできます。オリジナルの調味液を作ってニンニクを食べてもおいしそうです。

ニンニクに火を入れるレシピもあります。つける前のニンニクを湯通ししたり、電子レンジで加熱してからしょうゆにつけるレシピもあります。火が入ることで消毒ができるので保存性が上がりそうです。

みなさんもおいしいニンニクを見つけてオリジナルなニンニクしょうゆを作ってみてください。

【保存方法】

ニンニクは乾燥させた状態で保存すると長持ちします。また、冷蔵庫に入れる場合は、通気性の良い紙袋などに入れて保存すると良いです。

〈常温保存〉

乾燥した涼しい場所で保存

〈冷蔵保存〉

通気性の良い袋(紙袋など)に入れて保存

〈冷凍保存〉

1片ごとにばらして、ジップロックなどで保存。
乾燥対策として、皮は剥かずに保存する。
さらに、2~3片ずつラップを巻くといい。

ニンニクの発芽温度は15℃から20℃です。気温が15℃から20℃の環境で常温保存しておくと芽が出やすくなるので、常温保存する際は注意が必要です。

ニンニクを栽培する

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好む環境

ニンニクを育てる際、場所選びでは下記の点を気にしてみましょう。ニンニクが好む環境です。

  • 日当たりがいい
  • 水はけがいい
  • 養分が豊富

育て方

  • 植える時期
    9月末から11月初旬に植え付けることで、冬の寒さを超えて春に成長し初夏に収穫できます。具体的な、植える時期は品種や地域によって異なります。
    また、種のニンニクは食用のものでも栽培ができます。種用のものに比べると病気のリスクが高くなるようです。
  • 植え付け
    種ニンニクの用意ができたら、1片ごとにばらして植えます。皮を剥く必要はありません。畑の場合、畝幅60㎝で株間を15㎝ほどあけて植えます。このとき、尖ったほうを上に向けて、深さ3㎝程度に植えます。

    植えた時の記録があるので参考にご覧ください。
    野菜栽培ダイアリー 【ニンニクを植える】
  • 水やり
    植え付けた後は、芽が出るまでしっかりと水を与えます。その後は土が乾かないように適度に水やりを行います。冬の間は水やりを控えめにして、加湿を避けるようにします。
  • 追肥
    ニンニクは肥沃な土壌を好むため、追肥の必要があります。化学肥料を11月下旬、2月中旬に施すようにします。

病害虫について

  • 病気について
    ニンニクは風通しが悪く、湿度が高い環境下で病気のリスクが高くなります。さび病(ニンニクの葉にオレンジの小さな斑点ができる病気)や葉枯病(葉に小さな斑点が現れ斑点があらわれ次第に1~2㎝の大きさに大きくなり、斑点が多くなると枯れてしまう)といった病気が発生することがあります。他にも、春腐病(茎がとろけるように腐ってしまう病気)などがあります。
  • 害虫について
    ニンニクは、アブラムシ、アザミウマ、ネギコガといった小さな虫に寄生されることがあります。気になる方は防虫ネットや虫よけマルチなどの対策があります。

病害虫に関して、私はあまり気にしていません。”発生したら対策を考える”、という具合でやっています。気楽にできることが家庭菜園の良さです。あまり心配せずに“Let’s Try!”です。

自然科学から見たニンニク

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科名と分類

  • 学名: Allium sativum(あ~ さーうむ
  • 科名: ヒガンバナ科
  • 分類: 単子葉植物
ニンニクは古い分類体系ではユリ科に属していました。そのため古い図鑑などを見るとユリ科とされています。DNA解析の発展により新しい分類体系が生まれ、現在ではヒガンバナ科に属するようになっています。

構造

  • 鱗茎(りんけい)
    通常「にんにくのかけら」と呼ばれる部分で、複数の鱗片(片)から成ります。

  • 細長い形状で、地上に伸びます。
  • 花茎(かけい)
    開花するために伸びる茎の部分で、花が咲きます。

  • 鱗茎から生える根で、土壌から栄養と水を吸収します。

栄養素

  • ビタミンC
    抗酸化作用があり、免疫力を高めます。
  • ビタミンB6
    神経伝達物質の生成を助けます。
  • マンガン
    酵素の働きを助け、骨の形成に重要です。
  • セレン
    抗酸化作用があり、細胞の保護に役立ちます。

生理活性成分

生理活性成分:生体の生理機能に対して有効な成分
  • アリシン
    ニンニクを切ったり潰したりすると生成される成分で、強い抗菌作用や抗酸化作用があります。アリシンは、ニンニクの独特の匂いの原因でもあります。
  • スルフィド類
    心血管系の健康を支えるとされています。

成長サイクル

  1. 発芽
    鱗片を土に植えると発芽し、葉が地上に出てきます。
  2. 成長
    葉が大きく成長し、光合成を行います。
  3. 花茎の成長
    一部の品種では、成長期の終わりに花茎が伸び、花が咲きます。
  4. 球根の肥大
    栄養が球根に蓄えられ、鱗片が肥大します。
  5. 収穫
    葉が枯れ始めたら、収穫の時期です。

生育条件


  • 日当たりの良い場所が適しています。光合成によってエネルギーを生み出し、成長を促進します。
  • 土壌
    水はけの良い肥沃な土壌が必要です。
  • 温度
    適温は15〜25℃で、冷涼な気候を好みます。高温多湿の環境は、病気のリスクを高めます。

化学反応

  • アリシンの生成
    ニンニクを切ったり潰したりするときに、ニンニクの細胞が壊され、細胞質に存在するアリナーゼがアリインを加水分解し、アリシンを生成します。

    • アリナーゼ
      ニンニクやタマネギといったネギ属の植物に含まれる酵素群
    • アリイン
      イオウを含むアミノ酸の一種
  • 抗菌作用
    アリシンには強力な抗菌作用があり、病原菌の増殖を抑える効果があります。
【実験】ニンニクの臭いは消せるのか?

【背景】アリインをアリシンに加水分解するアリナーゼは熱に弱い性質があるそうです。ニンニクを加熱してアリナーゼを壊してしまえばアリインがアリシン(ニンニクのにおい成分)に変化しないため匂いがでないかもしれない

【検証】ニンニクを2かけら用意します。ひとつをラップにくるんでレンジで1分(600W)加熱します。もう一方のニンニクは包丁で半分に切ります。
ほんとに匂いが消えているか、比べてみました。

【結果】加熱したニンニクは生のニンニクと比べて明らかに匂いが減りました。味を比べても加熱したニンニクは辛味は感じません。生のニンニクをかじると当然、辛くてヒリヒリしました。我が家の子どもたちは面白がって匂いをかいで、匂わないと喜んでいました。

※生のニンニクをかじるのはおすすめしません。しばらくブレスケアが必要になります。

おわりに

ニンニクについて、可能な限り調べてみました。ニンニク一つでも深堀すれば、いろいろな世界に出会うことができます。ニンニクのことを網羅して、完璧に記載できているとは思っていません。気楽に読んでもらって「ほんとに!?」「食べたい!」「育てたい!」といった気持ちになってもらえれば幸いです。精一杯、真面目に書いていますが、所詮は素人のまとめです。”ホンマでっか!?”の気持ちでご覧ください。証拠はありませんのでご了承ください♪

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